園長メッセージ

園長メッセージ
Message from the director

6月主題…やってみる

今月の聖書の言葉

あなたがたはそれぞれ、賜物を授かっているのですから、神のさまざまな恵みの善い管理者として、その賜物を生かして互いに仕えなさい。
[新約:ペトロの手紙Ⅰ4章10節]

 「賜物」の語源はギリシャ語の“カリスマ”という語で、神が与えた恵みを表します。それから転じて一般的にも常人を超えた人を引きつける特別な能力の意味で使われます。聖書においては人の評価や優劣とは関係なく、その人特有の在り方や、神との信頼関係の中で与えられる希望や喜び、そして困難な経験さえもまた、神からの「恵みの賜物」として与えられていると考えられています。誰もがそれぞれに受けている恵みなのです。マイナスに思えることも含めて、それを「神から授かった」としてプラスに受けとめることができたならば、それは人生の糧となるのです。そしてその賜物は自己満足や利益のために用いるものではなく、互いを生かすために与えられていると語りかけます。それぞれのカリスマを、神と人を喜ばせるために用いていきたいと思います。

 予想外の出来事が世界的な広がりの中で発生し、わたしたちの日常が“はなれる”ことを中心に成り立っているように感じられます。おさな子は心も体も愛情を持って接する身近な人と密着して過ごすことで、愛されていることを実感し、心を通わせ、安らぎを得て、人と互いにつながって生きる術(すべ)を体得していきます。感染症への対応は喫緊のなすべき課題ですが、子どもたちが一人の人として育つために大切なことを、見失わないようにしたいと思います。禁止ばかりでは、子どもたちの未来も萎縮してしまいかねません。おだやかにほほえみを持って接することが、何よりも子どもたちを安定させ、意欲を持って何かを新しくやってみることにつながると思います。「やってみる」ことは、まだ見ぬうれしい未来にかけてみることです。何かさせようと、成果を出そうとする大人の思惑は、子どもの意欲を失わせかねません。その気持になるまでゆっくり待っ時間、そっと背中を押してみる時を、子どもの心に添いながら見極めていきたいと思います。園庭では土や水、花や小さな生き物たちがみんなを待っています。しばらくの間、思いっきり遊ぶ機会も少なかったことでしょう。「いっぱいよごしてきていいよ!楽しんできてね」と声をかけて送り出してください。着替えも多めに用意して…。       (園長:西嶋佳弘)