園長メッセージ

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Message from the director

11月主題…深める

今月の聖書の言葉

主(イエス・キリスト)は、
「わたしの恵みはあなたに十分である。力は弱さの中でこそ十分に発揮されるのだ」
と言われました。

[新約聖書:コリントの信徒への手紙Ⅱ12章2節]

 使徒パウロがイエスとの出会いの中で聞きとめた言葉です。人の欠けや足りない部分は、本人には不満となり、他者からはマイナスの評価とされるのが常です。そのためにより強くあろうと努め、また強く見せて誇ろうと思うのです。パウロは持病を抱え信仰的にも不充分さを自覚し、その弱さが除かれるよう祈ったのでした。しかし、むしろキリストの力は、その弱さの中にこそはたらくことを知らされたのでした。かえって弱さにこそ価値があり、それが神と他者からの愛を集める器となり、互いに支え合い力をあわせて生きる意味を教えてくれるのです。強さを競い争うよりも、人が弱さでつながる世の中となることで、誰もが十分な恵みで満たされていると肯定され、安心して生きていけるようになるのではないでしょうか。

 秋の豊かで変化に富んだ自然と、それによってもたらされる季節の食べ物は不思議に満ちており、その背後にある神さま(人の力を超えた存在)の恵みを感じる機会となります。また、芋掘りの機会もありますが、畑の土の感触や掘り出した芋の感触と重さなど、直(じか)に見て触れ匂いも嗅いで、何かを感じることの大切さを思います。それがその人の内側に取り込まれて醸成され、言葉や歌や絵や工作などの芸術表現となってあらわれていきます。それは小さな液晶画面からでは生まれない貴重な原体験となります。

 みんなで取り組むことが増え、他者との関わりが深まるほど、自分の思い通りにいかないことも経験します。そんな時、がまんしてゆずったり、自己主張がぶつかり合ったり、受け入れられず泣くこともありますが、そんなやりとりの中で子どもたちは成長し、一緒に生きる知恵と作法を身につけていきます。ある程度は子どもにゆだねて見守ることも必要ですし、適切な時に少しのアドバイスをし、認め合いながら生活できるよう配慮していきたいと思います。保護者の皆さんも、試行錯誤しながら成長していく子どもたちの姿を、共有しつつ見守りましょう。引き続き基本的な感染症対策と、体調管理をゆるめずに。(西嶋)