園長メッセージ

園長メッセージ
Message from the director

5月主題…うごきだす

今月の聖書の言葉

主(しゅ)は来てそこに立たれ、これまでと同じように、サムエルを呼ばれた。
「サムエルよ。」
サムエルは答えた。
「主よお話しください。僕(しもべ)は聞いております。」

[旧約聖書:サムエル記上 3章9節]

 サムエルは紀元前千年頃に祭司・預言者として活動し、古代イスラエルの王(サウル、ダビデ)を任命した人です。聖句箇所は、彼が少年時代に年長の祭司エリに神殿で仕えていたときの出来事です。主(=神)はある夜寝ているサムエルに呼びかけますが、初めはエリに呼ばれたのだと思ってそこへ行くと、「わたしではない」と言われます。三度繰り返された後、エリからそれは神からの声だからはっきり返答するように、と教えられます。サムエルはその呼びかけに答え、神からの言葉を全身全霊をもって聞き留めようとするのです。自分がこれまでに経験したことや自分の思いを元にして行動を起こすだけではなく、「神」という“他者”からの言葉を受けとめたときに、別の方向からのものの見方が示され、新しい世界が開かれていくことが示されます。実はサムエルが神から聞いた言葉は喜ばしい内容ばかりではなく、罪を犯す人間への厳しい裁きも含まれていました。その時代の人々は心が神から離れ、自分勝手な行動ばかりしていたのでした。他者から聞き、学ぶ事は、物事の真実を見抜いていく目を養うことにもつながっているのです。わたしたちは信頼できる方からまず「聞く」ことを大切にしたいと思います。

 子どもたちは次第に好きな場所やたのしい遊びができて、新しいお友だちとも馴染んできました。異年齢の関わりも増やしながら、家族的なしっとりとした関係をつくっていきたいと思います。子どもにとって「お話しを聞く」ことは、とても大切な作業です。目、耳、姿勢はもちろんのこと、心がそれを受けとめようとする素直な気持ちにならなければ、聞けないのです。よく遊んで満ち足りた気持になり、信頼を寄せる保育者の口から豊かな表情を通して聞くならば、何か新しく楽しいことや不思議なこと、わくわくするようなことが始まるのだと、想像力を膨らませることができるのです。家庭でもゆっくり絵本を読み聞かせたり、ていねいに会話をする時間を大切にしてください。庭にやって来るいろんな命に関心を向けたいと思います。

(園長:西嶋佳弘)