10月主題…共感する
ひとりよりもふたりが良い。
共に労苦すれば、その報いは良い。
倒れれば、ひとりがその友を助け起こす。
[コヘレトの言葉(旧約聖書)4章9,10節]
「コヘレト」とは集会の指導者を指すと考えられ、信仰に基づいた古代イスラエルの「知恵文学」の一つで、紀元前三世紀頃の成立とされています。世の現実の空しさや不条理について思いを向け、その中でどのような知恵をもって生きぬいていくことが神に信頼する者にとってふさわしいのかを綴っています。今月の言葉の背景には、「創世記」で神が人間創造の時の言葉「人がひとりでいるのは良くない、ふさわしい助け手をつくろう」と語り、男と女を創造したことがあります。それは「向き合って互いの部分となる者(パートナー)」という意味です。神は人を他者と共に生きる存在として創造された、という理解は聖書全体を貫いています。それは誰もが人生の中で直面する「労苦」の中でこそ、意味ある言葉として響いてきます。今の社会は個人の強さや責任を求める傾向にありますが、人は本来弱さや欠けを持つ存在です。二人、三人…で互いに補い合っていくことに、“良さ”と安心がうまれるのではないでしょうか。
一人遊びが多かった三歳児も、友だちや他のクラスの子どもたちの遊ぶ様子に刺激を受け、仲間に加わろうとしたり、真似てやってみる姿も見られるようになりました。家族的な交わりの中で、他の子に“共感する”ことによって、成長が促されているようです。お互いの良いところや苦手なことにも気づき、転べば「助け起こす」ようにして一緒に生活していく毎日は、「良い!」と感じます。集中して取り組んだ遊びの続きを「明日もやりたい」と、次の日を想い描きながらその日を終えることを大切にしたいと思います。すべてを片付けてしまわずに、翌日の遊びへつながるようにしています。からだを動かすことが、気持ち良いと感じられるよう、外遊びにしっかり取り組みたいと思います。秋の気配も感じられ、草花や園庭にやって来る虫たちの変化にも目と心とを向けて、楽しんでいきたいですね。
(園長:西嶋佳弘)