2月主題…響き合う
イエスは言われた。
「わたしは道であり、真理であり、命である。」
[新約聖書・ヨハネによる福音書14章6節]
宣教者パウロは、ローマ帝国の圧倒的な力による支配の時代、地中海沿岸地域にキリストの福音を伝える際に、命の危険を伴う様々な圧迫を受けて、幾度も窮地に立たされました。彼は神の前にある一人の人間として、自分の欠けや弱さ、至らなさを感じ、絶望の淵に立たされました。自分の力だけでは困難を乗り越えていくことはできないこと、神の助けや同労者の支えがあってこそ、今自分があることをゆるされていると実感したのでした。弱さはマイナスと考えるのが人の常です。人はそれぞれにさまざまな弱さを担って生きていますが、その弱さを思いやり共感し合ってつながる関係が、生きていく力を育み、本当の強さとなるのではないでしょうか。神は、人が強さを誇るところにではなく、自分の限界を知り、神に頼り自分を神にゆだねる他ないと気づいた心の内にこそ、はたらかれる方だと聖書は言います。強さを競い合って争いとなるよりも、弱さを認め合う関係が人に安心を与え、平和な交わりをつくります。
4月からの園生活の中で、いろいろな出会いや別れがあり、子ども同士の関係に奥行きがうまれています。年齢の小さい子、何かが苦手な子には、やさしく丁寧に接しようとする姿に成長を感じるこの頃です。目先の結果、成果にばかりに目を向けず、目に見えない心の成長を感じ取り、ていねいな言葉でほめてあげることも大切です。その子どもの“弱さ”も含めた全体を、身近な人から肯定される経験が、子どもの誇りを育て、自信となっていきます。それはその人の生涯を支えるものとなります。それぞれの個性が発揮されるように配慮しながら、みんなで協力して根気よく作り上げていくような、工作や遊びに取り組んでいきたいと思います。冬の中にも春の兆しを感じることができるように、庭の自然の変化にも関心を向けていきます。登園の道で、気づいた変化などを子どもと語り合ってみましょう。
(園長:西嶋佳弘)