園長メッセージ

園長メッセージ
Message from the director

3月主題…希望をもって

今月の聖書の言葉

わたしの目にあなたは価高く、貴く、わたしはあなたを愛し
……恐れるな、わたしはあなたと共にいる。

[旧約聖書:イザヤ書 43章4、5節より抜粋]

 古代イスラエルの民は、幾度も存続の危機を経験しましたが、その最大のものは紀元前587年のバビロニア帝国による攻撃と破壊でした。首都エルサレムの街と神殿は崩壊し、おもだった人々は歩いて1600㎞離れたバビロン(現在のイラク中部)に捕虜として連行され、移住させられたのでした。約50年後に解放されますが、その間は「自分たちの信じてきた神さまは、果たして今も生きておられるのだろうか?」との疑いや絶望におおわれていたのです。その時代に預言者イザヤは神の言葉を聞きとめ、慰めと励ましの言葉を告げます。たとえ世の人々からさげすまれ、無価値な者と思われているとしても、神の目には大切なかけがえのない一人ひとりであり、愛が注がれていることをひたむきに語り続けるのです。民は心の内側から復興し、希望を抱きながら勇気をもって新しい歩みをはじめることができたのでした。人には心の中に信頼し安心を与える確かな存在が必要です。この一年間子どもたち、わたしたちが、見えないけれど見守ってくれる方の愛に支えられていたことを心にとめたいと思います。共にいてくださる方があるからこそ、希望をもって未知の世界へ「さあ!」と漕ぎだしていくことができるのです。これからも“あやめファミリー”としてつながり合っていきましょう。

 球根から出た芽は、雪に埋もれる時もありましたがお日さまに向かって背を伸ばし、5月のフラワーフェスティバル用のパンジーやペチュニアも葉を広げつつあります。園庭のさまざまな命が春の近づきを知らせています。この一年、しっかりと遊びに入り込む時間を確保し、子どもにとって満足な一日を重ねることに心を配りました。またキリスト教保育の中心の一つである“見えないものに目を注ぐ”ことを大切にしてきました。それは子どもにとっては自分の気持ちと友だちの思いを感じ取りながら心を通わせることであり、大人にとっては現れる結果で子どもを判断せず、豊かなこころと感性の成長に目を向けることでもあります。またそれぞれの子に神さまから“賜物”が与えられていることを信じ、見守っていくことでもあるでしょう。そのまなざしが自分にそそがれていることを、子どもたちはきっと感じ取ってくれているはずです。それを受けとめて、自分と他者を尊ぶ思いが平和へとつながっていくのです。かつてのあやめ幼稚園の庭には真ん中に小さな池があり、その周囲に青紫と白のアヤメがたくさん咲いていました(今も移植し残っています)。花言葉はそれぞれ希望と純粋ですが、ここで出会ったみんなが、これからもアヤメらしい生き方をしていけるよう祈り願っています。

(園長:西嶋佳弘)