4月主題…言葉をたくわえる
「言葉をたくわえる」
レオ・レオニ原作・谷川俊太郎訳の絵本に『フレデリック』というのがある。寒い冬に向かって5匹の野ネズミたちは毎日食料をせっせと巣穴に運ぶが、そのうち何もしない野ネズミがフレデリック。みんなは腹を立てて「フレデリック、君はどうして働かないの」と聞くと「寒くて暗い冬の日のために、僕はおひさまの光を集めてるんだ」と答える。また違う日には「色を集めてるのさ、冬は灰色だからね」。最後に尋ねられた時、フレデリックは「僕は言葉を集めてるんだ。冬は長いから話の種も尽きてしまうもの」と答える。厳しい冬が来て、寒く暗い巣穴の中の野ネズミはフレデリックが語るお日さまの話を目をつぶって聞くと本当に温かく感じる。青い朝顔や黄色い麦、赤い野いちごや緑の葉っぱのことを聞くと、こころの中にはっきりといろいろな色を見る。最後にフレデリックのお話を聞いて、4匹の野ネズミは「驚いたなあ。君って詩人じゃないか!」と拍手かっさい。
今月7日付の朝日新聞は「暴れる子ども 苦悩する現場」と題して、年間7万件も起こっている小学生の暴力行為について、その現状や原因をレポートしている。原因も多様で「気持ちを言葉にできる子とできない子の差が大きい。言葉にできないイライラが暴力になるのでは」と学童保育の男性施設長。ぐずる子にスマートフォンで動画を見せる親をみると「子どもが気持ちを言葉に置き換える作業が減っている印象」と男性保育士。「子どもが自分の感情をコントロールできないのは、乳幼児期に自分は肯定(承認)される存在だという自我が形成されなかったのでは」と女性保育園長。
あやめでは読み聞かせを大切にしている。でもやっぱり子どもは寝床の中で、親にくっついて本を読んでもらうことが一番嬉しい。自分の中に言葉をたくわえていくことと、親との密着時間がもたらす安心感、満足感は、子どものこころの成長に欠かせない。さあ、スマホは切って、子どもに本を読んであげる時間を確保しましょう!
新学期が始まりました。これからの1年、神さまの恵みのうちにあやめファミリーのメンバーが仲良く成長できますように祈ります。
(園長 今石正人)