5月主題…言葉をたくわえる その2
言葉をたくわえる その2
生まれてきた赤ん坊は、言葉は使えない。言葉の代わりに泣いたり笑ったりするだけ。親は赤ん坊が理解しようがすまいが、赤ん坊に話しかける。赤ん坊はその「音」を頼りに、少しずつ「言葉」の意味を理解していく。「パパが帰ったよ!」と何度も聞いているうちに、赤ん坊はパパという「言葉」が、ママとは違う、でも見慣れた人を指しているのがわかってくる。こうして「パパ」という言葉と実物の「パパ」が脳内の配線で結ばれる。「あれっ?パパどこ?」と聞くと、パパを目で探すようになる。周りの大人が語りかけてくる言葉とそれが意味するモノをセットで脳内のダムにため込んでいく。脳内のダムにたくわえられていく言葉は2乗、3乗のスピードで増え、そのダムの貯水量があるところまで来ると、水が堰を乗り越えてあふれ出すように、今度は赤ん坊がパパを見て、「パパ」という言葉を発するようになる。0歳から6歳までの間の、この脳内ダムの活躍はまさに神技だ。
最初はモノやコト、色や形など、目に見てわかる言葉がダムにたまっていくが、やがて「どんな気持ち」とかいう、目に見えない心のようすを表す言葉がたまっていく。叱られて「悲しい」、褒められて「うれしい」、友だちと遊んで「楽しい」、一人ぼっちで「さみしい」などなど。これらの喜怒哀楽の感情を表す言葉は、その感情を自分の「身体を通して体験する」ことでたくわえてきた言葉だ。だからこそ、友だちの気持ちを、自分のコトのように想像し共感し「ともに喜び、ともに悲しむ」ことができるようになる。
物語や絵本を読んでもらって、主人公たちの感情が言葉とセットで幼い子どもの心に刻まれていくことはとても大切なことだ。 新しく入園した園児たちが、わずか2週間でこんなにも変貌するのか!と実感させられた白潮公園への親子歓迎遠足。成長を間近で感じとる幸せな体験でした。
(園長 今石正人)