園長メッセージ

園長メッセージ
Message from the director

11月号

雨のため翌日開催となった運動会は、晴天に恵まれ園児をはじめ卒園生や保護者の気合いの入った綱引きもあり、あやめファミリー全員で楽しい時間を持ちました。園児たちの演技や競技を見ながらふと、ヘンリー・D・ソローという19世紀中頃のアメリカの詩人、思想家の言葉を思い出していました。

「もし、ある人が仲間と歩調を合わせられないなら、それはおそらく、彼だけに聞こえる別の太鼓の音を聞いているからだろう。たとえその音がどんなにゆっくりでも、遠くから聞こえてくるものであっても、彼が聞いている音に合わせて歩かせておこう」

日本人は昔からみんなと同じ意見を持ち、同じ行動をすることが要求されてきました。さらに鎖国が終わり西欧の進んだ軍事力や経済力、科学技術や教育制度を知り、また多くのアジア諸国が列強の植民地になったことにあせった明治維新政府は、富国強兵、殖産興業をスローガンに、軍隊と学校制度を創設し、国民が一丸となって西欧に追いつくことを目標にしました。小さい頃から長期間にわたって制服や校則に縛られ、同調圧力も強く、他人と違った行動や考え方は否定されいじめの対象にさえなりました。識字率が高く勤勉な日本人はこのようにしてあっという間に西欧に追いつきました。が、追いついたところで国家目標を失った日本は失速することになります。

人は一人ひとり違います。DNAも違うし、生まれ落ちた家庭環境も違う。気質や感受性、成長のスピードも違う。多様な潜在能力を持つ子どもを、学校教育では偏差値というモノサシ一つで、「できる子、できない子」と分類する。自分だけに聞こえる太鼓の音を聞きながら歩いている子どもを強制的に他の多くの人と同じ歩調で歩くように強制する、その残酷さに気づいてもいいのではないでしょうか。

神さまは一人ひとりにかけがえのない宝を備えてくださっています。子どもが、「私は私でいいんだ」と思うようになるまで、多くの試練が待っています。幼児から成人になるまで、いや成人になっても、人は誰かに承認されたい、「私は私のままでいいんだ」と自己肯定したい欲求を持っています。乳幼児期にその欲求を満たしてくれるのは家族と幼稚園や保育園だけだと思います。わが子の成長を、辛抱強く待つ。長い目で見守る。神さまがあなたを見守っていることを忘れないで。あなたが子どもをなによりも大切に思っていることを言葉と態度にあらわして…。