園長メッセージ

園長メッセージ
Message from the director

2月号

 人生はしばしば旅や航海、あるいは季節やドラマにたとえられる。始まりがあり、悲しみや喜びを繰り 返しながら、終わりが来る。英語で見かけたたとえに、次のようなものがあった。「人生はピアノに似て いる。あなたがピアノから何を引き出せるかは、いかに演奏するか次第だ(Life is like a piano. What you get out of it depends on how you play it.)」。

 生まれてきた赤ん坊には一人ひとりにそれぞれ人生というピアノが与えられている。ピアノを弾きこ なすようになるためには、まず基本練習が必要。指に鍵盤の位置を覚えさせる、楽譜を読む、音階練習 をするといった基本を、身体が覚えこむまで繰り返し練習する。それから易しい練習曲に始まり、だんだ ん難しいものへ移っていく。こうしていつの日かバッハやショパンが弾けることを目指して、音感と腕を 磨いていく。ただ、それだけでは人を感動させる演奏をするには不十分だ。

 「学ぶ」という語源は「まねぶ」「まねる」からきている。いい演奏ができるようになるにはテクニック を「まねる」だけでは十分ではない。ピアノから素晴らしい音楽を引き出すためには、うまい人のピアノ 演奏をいくつも聴き、こころを揺さぶられる体験が欠かせない。その感動体験をピアノで表現したいと いう、「まねる」気持ちが必要なのだ。テクニックという「身体」と、情感という「こころ」が共に成長し洗 練されて初めて、自分や人を感動させる音楽表現ができるのだと思う。

 自分に与えられたピアノの前に座って、「猫ふんじゃった♪」のレベルのまま人生を終わるよりも、自分 も納得し聴く人をも喜ばせる音楽を奏でる人生を目指してほしい。真似したい人生を歩んでいる人は、 現実社会の中にも物語の中にもたくさんいる。あやめで育つ子どもたちも、いつかどこかで「真似した い=学びたい」生き方をしている大人や仲間にきっと出会うことだろう。

 朝ドラ「ばけばけ」の主題歌は次のように始まる。「日に日に世界は悪くなる、気のせいか?そうじゃな い」。これから10年後、20年後、生きていく世界が今よりもはるかに厳しいものになろうとも、神に祝福さ れ導かれて、いい人生を奏でることができるように心から祈りたい。

追記: 英語のlifeには「いのち」とか「生活」という意味もあるが、「ピアノ」と訳す方がいいと思う。

(園長:今石正人)