園長メッセージ

園長メッセージ
Message from the director

1月主題…じっくりと

今月の聖書の言葉

イエスはその人たちの信仰を見て、中風の人に、
「子よ、元気を出しなさい。あなたの罪は赦される」と言われた。

[新約聖書:マタイによる福音書9章2節]

 二千年前の聖書の時代では、病は「悪霊」のしわざであり、その人の罪に起因すると考えられていました。「中風」は脳梗塞などで重い後遺症がある状態です。「その人たち」は、病人を助けたい、イエスに頼ればいやしてくれるかも知れないと思い、連れて来たのでした。「子よ」との呼びかけは、病者は子どもではありませんが、親が子を愛(いと)おしく思い痛みに共感するような、情愛を込めた言葉です。「元気」は勇気や確信とも訳せる言葉です。病は本人を無気力にし、周囲の人は負担を感じたりして、あきらめがおおっていたことでしょう。この後病はイエスによっていやされるという奇跡的な出来事が起きます。それをもたらしたのは、その心身の全人的な痛みを思いやり、その人とつながっていようとする気持、理不尽な経験の中でも神に信頼を向けてゆだねようとする心です。世界は恐れや不安がおおい、欲望や自己中心によって病んでいますが、イエスの呼びかけを聞き、互いが信頼でつながり、心からの励まし合う言葉で元気になり、その人らしさを取り戻していけるようになるのではないでしょうか。

 子も親も目まぐるしく押し寄せる情報の渦の中で、たえず目先の新しさや効率と即効性を求めて走り回ってはいませんか。「じっくりと」落ち着いて一つのことに取り組み、失敗や成功を繰り返しながら、自分の中にしっかり取り込めるような遊び方を大切にしたいと思います。こま回しや羽子板などはすぐには出来ませんが、うまくいった時の達成感が次の新しいことへ取り組む力となるでしょう。三学期はクラスの仲間同士がじっくり付き合うことで関係が深まり、わかり合えたりゆるせたりするようにもなり、心の成長によって人としての奥行きが広がっていくよう願っています。動きが少ないように思える冬の自然や生き物も、登園途中の道ばたや園庭の片隅でも、じっくり観察すれば変化に気づくことができるはずです。寒さの中でも厚着しすぎずに、戸外で元気を出して過ごしましょう。引き続き感染症への対策を確実に行いながら、けじめのある生活とバランスのよい食事を心がけましょう。
(園長:西嶋)